レコーディング・エンジニア。音楽好きの方なら知っておられる方もいらっしゃるかもしれません。簡単に説明しますと、音楽CDやDVDに収録されている「音」を録音し、各楽器のバランスをとり、音調整するのが主な仕事です。
筆者はレコーディング・エンジニアになり、かれこれ6年目を迎えました。これまでの経験を思い返しつつ、その道程と努力したことなどをご紹介させて頂きます。
全て筆者の経験であり、これが正しいというわけではありませんので、ご了承下さい。
筆者がレコーディング・エンジニアになるまでの経歴を高校卒業から書かせて頂きます。
県立高校卒業→国立大学入学、そして退学(当時22歳)→音響系専門学校入学→専門学校卒業(当時24歳)→レコーディングスタジオ就職、退職を繰り返し、3社目が現在の所属会社になります。
次の「エンジニアに必要なこと」にも関わってきますが、まずは音楽を沢山聴きました。好きなジャンルはもちろん、これまでは毛嫌いしていた音楽まで有名なものはひと通りチェックします。それが、自分の中のセンスの幅を広げていく方法の一つです。
また、意識的に地元のバンドと仲良くしてきました。これを努力というのは少し汚い話なのかもしれませんが、音楽業界というのはとても狭い世界です。なので、いつどこで誰と誰が繋がるか分かりませんし、そういう中にチャンスが転がっているものです。
レコーディング・エンジニアに関わらず、音楽業界に興味を持たれる方は多いと思うのですが、就職の門戸が狭いと思われている様に感じます。ですが、そんな事はありません。一歩踏み出しさえすれば、すぐそこに開けているものです。
筆者が実際に行なっていた就職活動は以下の2ルートです。
興味のあるスタジオへの電話、そこから面接のアポイントメント取り
音楽業界総合情報サイトの利用
特に一つ目が効果が有るように思います。
何度も電話をし、どうにかスタジオ見学の約束を取り付け(当日は履歴書を持っていく事をオススメします!)、当日お邪魔すると…突然の面接開始という経験があります。
レコーディング・エンジニアを仕事とした場合、どの様な音楽ジャンルが仕事で目の前に現れたとしても、アーティストや広告代理店といったお客様のニーズに応えていかなくてはなりません。
あらゆる音楽の知識を幅広く持つ必要があります。実際には、得意・不得意というものはあると思いますが、沢山の音楽に耳を傾ける必要があります。好きな音楽だけを知っていれば良いわけではありませんし、好きじゃないジャンルの音楽も仕事として関わることも多々あります。
これは必要なのは間違いありませんが、自分にセンスとは目に見えないものです。自分でセンスがあると思い込むのも必要ですが、それが事実なのかは周囲が判断をすることです。
出来ることは多くの音楽はもちろん、音楽以外の芸術、絵画や彫刻、映画や舞台、さらには自然の美しさ等…あらゆるものから刺激を受けることが大切だと思います。
最後に書きますが、これが一番必要であり、重要な事だと確信しています。
レコーディング・エンジニアは技術職です。ですが、作っていく音楽を奏でるのは自らではなく、アーティストや楽団です。ナレーターや声優の場合もあります。そこには、マネージャー、プロデューサーなど、更に多くの人々が関係しています。
そんな多くの人々が気持よく仕事が出来るように、その場をコントロールしたり、流れを作ったり、陰ながら仕事をしているのがレコーディング・エンジニアでもあります。良い環境作りが、良い演奏を生み、良い作品に繋がっていくからです。
どんなに音楽知識やセンスがあっても、コミュニケーション能力がなくては、仕事になりません。
最後になりますが、音楽が好きでなければやっていけない仕事。それは間違いありません。ですが、本当に好きな事を仕事にするというのは素敵な事です。筆者は、本当に幸せな日々を暮らしているとこれを書きながら、再認識させて頂きました。
(Photo by http://www.ashinari.com/2009/07/08-023857.php)
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