はじめに
ここ最近、Web業界では、従来はメインのユーザー層とされていなかった女性などが活用するサービスが注目されています。社会の新たな要望や新たな可能性をそこから考えることができるからです。
実は、こうしたサービスは以前からも存在していました。女性やクリエイターが活躍し、利用する「ハンドメイドマーケットサイト」もその一つです。そこで今回は、2010年頃から国内でも急増しているこのサイトについて、なぜ今再び話題になりつつあるのか、各サイトにどんな個性があるのかなどについてまとめてみました。
ハンドメイドマーケットサイトって?
Etsy
作家と購入者が直接、手づくりの作品を販売・購入できるWebサイトです。マーケット内では作家/購入者、作家同士、購入者同士での交流も行われるため、フリーマーケットのWeb版とも言えます。
マーケットはそれぞれ、スタンスや商品傾向が少しずつ異なっています。例えば、ハンドメイドマーケットサイトの先駆けであるアメリカの「Etsy(エッツィー)」の場合は、手作り品以外にヴィンデージ商品(20年以上前のもの)も販売できる点が特徴的です。また手づくり品のカテゴリに「音楽」もあり、単なる「手づくり」のマーケットに留まらない個性を見せています。
なぜ増えてきているの?
このEtsy(エッツィー)は、2005年のオープンの際「Webに点在するハンドメイドサイトを繋ぎ、もの作りする作家を後押しする」というコンセプトを掲げました。これがちょうど、没個性な大量生産商品が溢れる社会に疑問を持ち始めた、アメリカの消費者の気持ちに呼応したため、一般にも広まったと言われています。
その数年後となる現在、Etsyが新たな伸びを見せ、日本にもこうしたサイト増えつつある理由。そこにはハンドメイドマーケットサイトが持つ側面で、「交流」機能が新たに注目を浴びていることがあります。女性が中心ユーザーであり、商品を介して交流することがコンセプトの「Pinterest」と併せて語られることがあるのも、そのためでしょう。
Etsyは、2011年6〜10月間にPV数を47%増加させている。
Etsy:CrunchBase
ちなみに、2010〜2011年半ば頃に相次いでオープンした日本国内のハンドメイドマーケットサイトは、その大半が交流機能を装備しています。EtsyのCEO言うところの「市場での人同士の対話の重要性」を意識した構造になっていると言えます。
TechClunch JAPAN:2010年6月30日
また日本の場合は、震災後の消費見直しの意識や、コミュニケーションに関する意識の変化も無関係ではないでしょう。伝統技術を活かした商品や個性的な商品への価値だけでなく、人との関わりの価値の見直しにも繋がっているのです。
このような背景の中で、ハンドメイドマーケットは、オリジナリティある作品を売買する安全な場として、また新たな交流の力を生み出す場として、さまざまな可能性を秘めるサービスとして注目されています。
(Photo by 筆者)
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