オリンピックで行われる競技種目「あん馬」についての基礎知識を紹介します。
個人演技の種目です。
体操競技の種目であり、この種目は団体・個人総合で行われるほか、種目別でも単独で行われています。
なお、男子のみで行われている種目で、女子の体操競技には含まれません。
あん馬という、馬の鞍(くら)を模した器具を用います。高さ105cmの台の上に2本の取っ手が備え付けられたもので、競技場の床に固定されています。
2本の腕のみで体を支え、流れの良い演技で止まらずに振動・回転するダイナミックな種目です。非常に腕力を要求される種目で、独自の専門性を持っています。
規定の技を組み合わせて演技を行い、技の技術的完成度、安定度、芸術的完成度が評価され、その得点の多さを競います。
いかに高難度の技を、流れ良く静止せずに組み合わせるかという、ダイナミックさと美しさが見どころです。
演技はあん馬に手を掛けて飛び上がったところから始まり、終末技で着地するか、演技者が途中で棄権するまで行われます。演技終了は終末技の着地動作を完了した時点です。
1回の演技中に、複数の技を組み合わせて演技を行わなければなりません。また、この種目は流れの良さが重視されていることから、静止技は認められておらず減点対象となります。
得点は10点満点で、内訳は構成点5点と実施点5点で構成されています。獲得点数の高さがそのまま順位になります。
構成点
実施される技に対して、その種類や難度に応じて、あらかじめ設定されている点数から加算方式で算出します。
実施点
実際の演技に対して、規定の減点項目に応じて、減点方式で算出します。技の高さ不足や不適当な技の実施、馬体軸のずれは減点対象となります。
非常に多くの技があり、認められている技にはそれぞれ難度が設定されています。
振動技
体を左右に振る技。
移動技
旋回をしながら、あん馬上を縦、横へ移動する技。
旋回技
体を起こしたまま足を水平方向に回転させる技。
転向技
体を倒し体全体を水平方向に回転させる技。
終末技
あん馬から下り、着地する技。
演技の内容以外に、行為自体が減点対象や禁止とされているものがあります。
器具からの落下
あん馬から落下した場合、減点となります。
静止
演技中に静止してはなりません。減点となります。
着地違反
故意に足以外で着地すると0点となります。
体操競技においては他種目でも終末技に足以外で着地する技は禁止であり、基本ルールの1つでもあります。
2003年の世界選手権(アナハイム)にて鹿島丈博選手が、あん馬での日本体操史上初の金メダルを獲得しました。
しかし、オリンピックにおいては未だメダル獲得が無く、日本勢がオリンピック金メダルを取ったことのない唯一の体操種目です。
ロンドンオリンピック2012 体操・体操競技 - JOC
日本体操協会
あん馬 - Wikipedia
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